思考の備忘

チラシの裏10000枚

モルモン教についてモルモン教徒が書いてみる

いきなりですが、自分はモルモン教徒(LDS※)です。

(※末日聖徒イエスキリスト教会(Latter Days Saint)のこと。LSDじゃないよ。末日聖徒イエスキリスト教会員は「モルモン教」という呼称を推奨していない。)

 

ただし、現在は日曜日に教会に行くこともなければ、聖書を愛読しているわけでもなく、ただ親がモルモン教徒だったために所謂「二世」として育った、というだけです。

つまり、別に破門されたわけでも、自分から退会したわけでもなく、ただただ教会に行かなくなっただけなので、現在も(恐らく)モルモン教会員であるんだろう、というただそれだけです。

モルモン教の神様も信じておりませんし、教義とか聖書の内容についても基本的なこと以外はまったく詳しくないです。

 

僕自身は不可知論者に近い無宗教だと思います。神様的な存在はいると思っています。

 

先日たまたまネットで「モルモン教ってカルトなの?」とか「モルモン教やばい」みたいな検索結果が結構出てきて、色々と読み漁ってみたんですね。

自分のまったく知らない事実とか、噂とか出てきて面白かったんですが、結構そういうの好きな人もいるのかなーと思ってネタにしてみようと思った次第です。

自分の経験則からのモルモン教、及びその教徒への感想とかつらつらと書いてみたいと思います。

 

(自分の経験に限った話で)結論から言うと、モルモン教(LDS)はまあまあまともな宗教団体なのではないかなーと思っています。教義とかも、別に物凄くおかしいものは無いのかなと。

むしろ人としてというか、宗教的には当然の教えばかりだと思う。

 

例えば、結構皆が突っ込んでた教義の中で「コーヒーやお茶とかカフェインは摂っちゃダメ、アルコールやタバコダメ」とか「結婚前のエッチダメ、夫婦以外とエッチしちゃダメ」とか「エッチ系の画像動画ダメ、自慰行為ダメ」とかがあるんだけど、これって理屈的にはいいことばかりでしょ(実際に守るのは難しいけど)。

(一部を除く)宗教において、食の制限や性の神聖視というのは必ずある要素なので、そこまで不思議ではないのかなと思います。

 

モルモン教と言えばよく話題にされる「一夫多妻制」。

この歴史やかつての存在意義については、自分もどちらかというと否定的です(一応、子孫を残すためだとか、設立当時は男女格差が激しく生活ができない女性が多く、そういう女性を救うためのしかたない制度だった、、みたいな理由があったらしいですが、、うーん)。

 

ちなみに誤解の無いように書いておきますが、自分がここで書いているモルモン教とは「末日聖徒イエスキリスト教会(LDS)」のことです(最初の説明を見てね)。

アメリカにある(日本にもいるのか?)原理主義(FLDS)とは違います。

LDSは、本拠地であるユタ州で一夫多妻制が禁止となった際に、教義的にも一夫多妻制を禁止しています。

それを政治的理由であり神の意志ではないから不服であるとして、LDSから分離し、従来通り一夫多妻制を貫いている宗教団体がFLDSです。

LDSはFLDSとはもはや団体的に何の関りもないと明確に宣言しています。

 

まあ確実に政治的理由であるにも関わらず「神から啓示があった」とか言って一夫多妻制を禁止したLDSにもはや宗教的説得力は皆無なんだけど、宗教とは人間が創ったものであると考えている自分にとっては、世の流れに柔軟なLDSの方が人間としてはまともなのかなとも思う、、。

とはいえ、FLDSとしては「お前ら神の教えを政治だとか金の問題で覆してんじゃねえ!」と言いたくなりますわな。それも分からんでもない。

が、僕は一夫多妻制を教義として制定することに対しては、まったく反対(一夫多妻自体はいいですよ。当事者たちが納得して良ければ何の問題もないと思う)なので、どちらにしてもそこに関しては今のところ疑問しかありません。

 

後は同性愛に関しても、今も同性婚は認めていないはず。

ただし、近年は同性愛者でも受け入れ自体は歓迎していると思う。

その辺は一夫多妻制と同じで、世論の変化のタイミングとほぼ同時に神から啓示が降りることでしょう。

宗教的説得力は皆無ですが、めちゃめちゃ考えが柔軟な神様、ということで良しとしておきましょう。

 

その他、お布施として給料の10%とか、変なスーツ着た2人組外国人宣教師による普及活動とか色々あるんだけど、その辺りはどんな宗教も色んな形で活動費を徴収しているし、普及活動しているわけで、モルモンに限った話ではないので納得はできてしまいますね、自分は。

 

次にその教徒や会員さんたちなのですが、僕は今現在も子供のころ仲良くなったたくさんのモルモン教徒の友達と付き合いがあります。

アメリカへ留学した時も、昔仲良かった宣教師の家にホームステイさせてもらってました。

それは単純に学校や会社で友達ができることと同じで、たまたまモルモン教というコミュニティの中で気が合ったからという理由であり、宗教自体はほぼほぼ関係ないです。

そして今でも付き合いがある友達は、宗教の話や勧誘的なことは今も昔も一切してこないです(だから付き合い続けていられるんだろうけど)。

当然教徒の中にはいやーな人や高慢な人はいますよ。

お前は本当に神様を信じているのか?って思う人も全然います。

これはどのコミュニティだろうがまったく同じ。

一般的にはまともでいい人率は高いです。

宗教に入る人って基本は善人になりたいとか、悲しみを乗り越えたいとか、そういう理由から入会してるので、神の教えを守ろうとするし、前述したようにその教えは基本的にまともなことばかりなので、当然いい人が多いんですよ。

そういった理由以外で入会している人や、幹部とか宗教内政治的なことに絡んでる人はそうじゃないかも知れませんが、一般信者は総じていい人が多い印象です。

 

自分は子供の頃からモルモン教であることで差別とかいじめられたりとか、辛い経験は一切しなかったので、逆に自分の宗教にまったく興味がなかったのです。

日曜日に教会行くこととか、神様のことを勉強することが単純にめんどくさ過ぎたし、その面倒くささを乗り越えるほどの信仰もありませんでした。

なので親の強制力が薄れる高校に上がる頃からは、もうほぼ教会というものには通っていません。

自分が教会に行かなくなってからも、札幌に新しい神殿ができたり、ご存じアメリカ大統領選に出馬したミット・ロムニーさんの活躍等、順調に勢力を拡大している印象。

 

モルモン教の神を信じていない自分が未だにモルモン教の友達たちと仲良くするのは、若干後ろめたさみたいなものもあったりしますが、前述している通り自分が付き合っている人達は宗教関係なく、とてもいい人達ばかり。

そんな人達が信じる神様や宗教を信じたい、という気持ちはあるんですが、モルモン教含め今現在ある宗教のほとんどはどう考えても人が人の為に創ったものである、という事が色んな観点から丸分かりなので不可知論者にならざるを得ないです、、。

 

でも、何故こういった教義があるのか?とかその歴史や意味を調べると、結構合理的な理由があったりするので(ユダヤ教のタルムードとか)そういうのはとても面白いと思います。

皆が素通りしていってしまうようなありふれた戒律には、実はとても真理的で根本的に大事なことが書かれていたりするんですよね。

モルモン教のカフェインやタバコ、酒がダメとか、エッチ系ダメとか、これも元を辿ると結局人生を破滅させるのって、こういうものなんですよね。

人が言っても守るはずがないので、「神」という崇高な存在を利用したわけですね。

教義自体はとても参考になるし、人の為になるものが多いなと思います。

 

長文だらだらと書きましたが、自分の経験則範囲ではLDS(モルモン教)およびその教徒は全然まともなのかなーと思います。

が、自分はモルモン教に対して特別な思いはまったく無いですし、贔屓も批判もするつもりはありません。

ただただ自分の経験則からの感想を書いただけです。

 

モルモン教の人たちが、モルモン教徒や宣教師にレイプ被害にあったとか、そういうことを書いてるサイトも見ましたが、内容が嘘だとは言いませんが、そういう人たちはどの宗教や団体にだって少なからず必ず存在していると思います(ローマカトリックと幼女虐待とか調べてみ?)。

お坊さんなんて俗にまみれまくりですし。

自分や自分の近い人が、どっかの宗教や団体の極一部の人から何か嫌なことをされたりしたら、その人個人だけではなく、その人が所属している組織全部ひっくるめて「悪」と見做してしまいがちだけど、実際はそんな事なくて、大多数の人は普通にいい人だったりすると思う。

中国・韓国人や外国人を物凄い目の敵にする人もいるけど(逆に日本人もされたりするけど)、僕が留学していた時誰よりも助けてくれたのは韓国人の友達たちです。本当にいい人達でした。彼らとは今でも連絡を取り続けています。

「木を見て森を見ず」とはよく言うが、「森を見て木を見ず」な人もとても多いと思う。

 

宗教や国籍、そんなレッテルは取っ払ってその人自身を見る目を養わないと、本質を見失ってしまうと思っています。

 

今日はこんな感じで終わりたいと思います。

お粗末様でした。